はてな出版くんの面付け・RIPテスト結果

CLさんの好意により、はてな出版くんで作ったPDFファイルを実際に印刷業界に使われているソフトで検証をしていただきました。大変ありがとうございます。
http://cl.cocolog-nifty.com/dtp/2004/11/post_12.html

今回は、Pitstopでの検証・面付け・RIPテストなどをしました。結果は下記の通りです。私はプロの印刷についてはほぼわからないので、以下の説明も間違いがあるかもしれません。

Pitstop での検証

これはPDFの中に、対応できない可能性のあるものを検査するソフトだそうです。実際の印刷現場では、PDFを印刷するのは、Adobe Readerを使って印刷するではないです。他のソフトで面付けしてから、RIPしなければならないようです。そのため、あらゆるの条件はAdobe Readerと同じとはいえません。検証の結果、以下の問題が検出されました:

フォントは埋め込まれていません(モリサワリュウミン・Timesなど)
これらのフォントは、Adobe Readerはデフォルトで提供していますが、どうやら必ずあるとはいえないらしいです。つまり、業者によっては持っていない可能性があります*1。しかしながら、日本での印刷業者ならば大丈夫でしょう。私が台湾の印刷業者に印刷を頼むとしたら、モリサワリュウミンが購入していない可能性があるかもしれません。
JPEG画像はRGBを使っています。
現在の実装は、ダウンロードしたRGB*2JPEG画像をCMYK*3に変換することはしません。つまり、印刷会社によって色が変わることがあります。しかし、カラーモデルを変換するのは、JPEGの圧縮を展開して変換してからまた圧縮しなければなりません。これは大変難しい実装であり、それにカラーモデルの変換もJPEGの圧縮も難しい学問であり、タコの実装をするより、印刷会社に任せばもっと綺麗だと信じています。本当にカラー印刷したいのなら、色の表現の正確度については印刷業者と相談することはお勧めです。
解像度は低い
印刷の常識では、300dpi*4以下の画像はモザイク状になって、醜いです。綺麗な出来が欲しいなら、少なくとも300dpi以上にしなければなりません。つまりはてなダイアリー無料ユーザの画像を例として、一番大きな150×150の画像でも、300dpiで印刷したら、1.27cm×1.27cmになります。これはやっぱり小さすぎますね。今の実装では3.53cm×3.53cmで出力されますので、108dpiだけなんです。画像のソースは印刷用でなく、ネット用の画像なんですから、品質が悪いことは宿命らしい。


これらの問題に関しては、このままで大丈夫らしいです。もちろん、こうレーベルの印刷結果が望んでいたら、印刷会社と相談したほうがいいと思います。

画像の解像度については、A4に印刷せずに、B5やA5サイズ、もしくは文庫本サイズ(笑)で印刷したらいいかも。実際、A4にすることもあくまでプリンタで印刷しやすいだけです。本格印刷するなら、A4サイズはやっぱりでかいですね。縮まなきゃ。

面付け

印刷機は一回に印刷できる面積はA4だけではありません。普通は非常に大きな紙に、同時に8ページや16ページぐらいをまとめて印刷します。この作業は面付けだといいます(中国語では「拼版」)。このページにはもっと詳しい説明があります。


面付け作業は無事に完成できた模様です。
CLさんから面付けをしたPDFのサンプルをいただきましたので、興味のある方は参考していださい:
http://but.lolicom.org/hatenapdf/sample_v_imp.pdf (218k)


これは8ページ掛けで、このページの(4)に当てます。左の4ページは表で、右の4ページは裏です。

RIP

RIP(ラスターイメージプロセッサ)とは、PostScriptなどのデータ(PDFデータは該当します)をドットデータに変換する作業です。つまり印刷用の原稿を生成することです。この作業は案外にややこしくて、ソフトも大変高いそうです。この段階では、印刷用のCMYKの4つのデータを別々に生成します。上記のフルカラーデータをCMYKに変換する作業はこの段階で果たします。それに、網掛けとかもこの段階の仕事らしいです。 RIPは複雑の作業なので、同じPDFでも、違うソフトでRIPする可能かどうか違う可能性があるらしいです。 今回のテストでは、RIPソフトはモリサワリュウミンなどのフォントを揃っていますから、無事にRIPした模様です。
サンプルもいただきましたので、公開しましたが、非常にでかい画像なので、ダウンロードするには時間がかかります。IEやイメージブラウザが一時応答出来ないこともあります。これは300dpiの結果ですが、実際に印刷する場合は1200dpiにするらしい(つまり幅も高さも更に4倍にする)。

http://but.lolicom.org/hatenapdf/sample_v_rip_k.jpg (「黒」部分のRIP結果・300dpi・7MB)


これらの出力結果を見て本当に感動しました。CLさん大変ありがとうございました。

デザイン

裁ち落とし(中国語では「出血」)がありません。詳しくはCLさんのページを参考してください。
これはついては、また解決の方法を研究します。


実は、プリンタの印刷可能範囲はA4より小さいことが普通なので、私がはてな出版くんで作成した日記を10ページくらい自分のレーザープリンタEPSON EPL-5700L)で印刷してみたことがあります。やっぱり予想の通り、右と左に、0.5センチくらい印刷できない部分がありました。これも厄介な問題です。

この問題は回避したいですが、いい方法が見つからないね…

A4のページでB5サイズだけ利用して、残した部分を裁ち落としとして利用する
これは機会があれば実装したい方法です。レーザープリンタで印刷したものをそのままB5に裁ちます。B5は本にぴったりサイズだし、少量の製本なら、実用な方法だと思います。しかし、この方法では、利用可能の範囲が小さくなって、ページ数は増えます。大量印刷の面付けも向いてないと思います。パソコンでのブラウズも向いてないかもしれません。

実際、大量出版の製本や、少量製本とパソコンでのブラウズ、違う用途によって、違う要求があるようです。残念ながら、そのうち排他的な要求もあるらしいです。これは困りますね。 違う用途に対して違うバージョンを作ったら、バージョンアップする時、保守性は守りにくいです。汎用的なソフトを作るのが意外に難しいです。

結論

今後の目標は、まずはバグの改正(汗)。そしてはてなの書式を可能の限り対応してみたいと思います。
上記の問題も時間があれば模索します。

*1:もちろん、埋め込むことが出来ないではありませんが、そうしたらファイルサイズが恐れるほどデカくなるので、現在のファイルサイズはすでに大きい現状を見ると、やっぱり埋め込まないほうがいいではないかと思います

*2:光学の3原色「赤・緑・青」が構成するカラーモデル。

*3:印刷用の4原色「藍色(Cyan)、深紅色(Magenta)、黄色(Yellow)、黒(blacK)」で構成するカラーモデル。RGBとCMYKマッピングはマンツーマンではないので、同じ色でも、スクリーンで表示される感じと印刷された結果が違う場合が多発して、印刷現場の課題だそうです。

*4:dots per inch、つまり1インチの中のドット数。