タピオカ
(from: id:mmmg:20040708)
タピオカって何の研究です。
(右の写真は二年前に原宿で購入したタピオカミルクティーです。)
日本で行ってもよくタピオカミルクティーを飲む私にとって、「タピオカ=粉円」というのは常識みたいなもので、あまり研究する気がありませんが、id:mmmgさんは色んな反論も見つけました。
たとえば、このページ http://www.thai-square.com/shokuzai/sonota.htm 。
この中のタピオカの写真はどう見ても「西米露」に似ています。
これを読んで興味を感じた私は、以下の研究もしました。
まず、いつも利用していた「大辞林 第二版*1」で調べてみると:
タピオカ 0 2 [tapioca]
キャッサバの根からとったデンプン。食用とする。
なるほど、「キャッサバ」の根から取った澱粉で作ったものですね。で、「キャッサバ」って何?
キャッサバ 1 0 [cassava]
トウダイグサ科の落葉低木。熱帯諸国で広く栽培される。高さ3メートル内外。地下にサツマイモに似た太い根があり、これからタピオカと呼ぶ食用のデンプンをとる。イモノキ。タピオカの木。
そして台湾ヤフー*2の英中辞書で、「cassava」を検索してみると:
cassava
n. ( 名詞 noun )1. 【植物】 【植】 木薯 ( 産於熱帶,澤漆科 )
ちなみに、tapiocaも
tapioca
n. ( 名詞 noun )1. 【物】 木薯澱粉
と載ってありますね。
…で、木薯ってなに? 粉円の材料も西米露の材料もわからないから、まず教育部新編国語辞典修訂版*3で調べてみます。
【木薯】
樹薯的別名。見「樹薯」條。
……。
【樹薯】
植物名。大戟科木薯屬,落葉灌木。……可供食用或製粉,並為酒精及味精之主要原料。
なるほど、アルコールと味の素の原料ですか。すごく依頼している植物だよね。でもあまり粉円か西米露との関係について書いていませんね。
仕方なく、食材の名前で調べてみると、
【粉圓】
一種食品。呈圓形,煮熟後,成透明状,中央較硬而外面軟嫩。冬天熱食,夏天常加冰而成涼食。
分かってるって! 原料を書けよ原料!
西米露でも調べてみたが、
見つかりませんでした。
「西谷米」に言い換えれば?
【西谷米】
一種澱粉質食品。為馬來語Sagu的音譯。其製法是將西谷椰子樹幹内白色液状的碳水化合物取出,加工製成澱粉小粒,為太平洋西南地區的主要食物。
なるほど、西谷米は椰子の木の液で作ったものですね。これならキャッサバで作ったタピオカとは無関係らしいですね。
やはりタピオカは粉円ですね? まだ直接的に証明できる証拠が見つからない。もうちょっとがんばってみよう。
いよいよGoogle大明神の出番だ!
木薯粉與蕃薯粉、玉米澱粉作用相同。但能使食材成膠凍状、所以用來制作肉圓皮、粉圓等食物。
おお、これならタピオカ=粉圓の証拠も見つかりました。
え? もっと調べてみると、こんなページもありました:
西谷米其實就是菱粉作的。
椰子ではないの? 菱粉ってなに?
西米露=太白粉!? マジで?
きもい・・・・。
香港の食材ページ:
(英語)Tapioca Starch = (香港)木薯粉 = (台湾)泰國生粉 菱粉
…こりゃややこしくなりましたね。
教育部の見解では、西米露は椰子の木の液で作ったものですが、なんとタピオカ粉で作った見解もあります。
いろいろ調べると、この行政院衛生署の「食物代換表」*4はこんなものも書いています:
*西谷米(粉圓)
同じだっけ?
違うように見えるのに…。
結局、日本語で混乱しているだけではなく、中国語でも混乱している模様。
最後に、西米露の正しい日本語についても研究しました。
このページの一番下に、
キャッサバ Manihot esculenta Crantz
利用
熱帯では米につぐ主食。青酸は加熱、水洗、乾燥でなくなる。抽出したでんぷんはタピオカデンプン。
料理、加工、アルコール原料。インドネシア、マダカスカル、ブラジルから米欧日へ大量に輸出。
サゴヤシ Metroxylon sagu Rottb. sago palm と
トゲサゴヤシ M.rumphii Mart. prickly sago palmマレー原産のヤシ科の高木。幹内に大量のでんぷんが蓄積される。でんぷんは良質、サゴパールとして欧米日へ輸出。
と、非常に詳しい情報が書いている。
やっぱり椰子ですね。
西米露はSaguの音訳で、「サゴパール」らしい。
こんなページも見つかりました。
沖縄のれっきとした宮廷料理としてタピオカを使ったデザートがあります。「西国米」と書いて「しーくーびー」と読みます。琉球料理の本などには「せーかくびー」とありますが、私は「しーくーびー」と聞いて育ってきたので、この呼び方を使っています。
このページによると、正しい言い方は「サゴパール」ですが、沖縄では戦前から台湾から輸入の西谷米をデザートとして食べる習慣があって、「しーくーびー」と読み、「西国米」という表記を使っています。
「サゴパール」「サゴ」「西国米」「しーくーびー」などでキーワードとしてGoogleで検索して見ましたが、どれでもヒット数が少なく、やはりサゴのことも「タピオカ」と呼ぶケースが多い。
このページによると、
キャッサバ: トウダイグサ科の多年草。そのイモのデンプンを粒状にしたものがタピオカである。最近は「サゴ」として出回っている粒々(サゴパール)も実はキャッサバ製の物が多いらしい。
真相判明! なるほど、サゴはサゴヤシ製ですが、最近はキャッサバ製のものもよくあるようになりました。
今時のそばはそば粉より小麦粉の用量が多いことと同じだ(笑)。
ふー。疲れました。ということですべての真相が判明しましした。長文ですみませんでした。
結論
- タピオカ=粉円
- 原料:キャッサバ=木薯=樹薯
- サゴ=サゴパール=西谷米=西米露
- 原料:サゴヤシ=Sagu椰子
- 最近キャッサバの製品も。
- 日本では「タピオカ」と言うケースが多い。
- 沖縄では「西国米=しーくーびー」と言う。
- 太白粉=片栗粉
- 原料:じゃが芋=馬鈴薯
- 昔の片栗粉は片栗製ですが、今は殆どじゃが芋製。