タピオカ

buttw2004-07-09

(from: id:mmmg:20040708)
タピオカって何の研究です。
(右の写真は二年前に原宿で購入したタピオカミルクティーです。)


日本で行ってもよくタピオカミルクティーを飲む私にとって、「タピオカ=粉円」というのは常識みたいなもので、あまり研究する気がありませんが、id:mmmgさんは色んな反論も見つけました。

たとえば、このページ http://www.thai-square.com/shokuzai/sonota.htm
この中のタピオカの写真はどう見ても「西米露」に似ています。


これを読んで興味を感じた私は、以下の研究もしました。


まず、いつも利用していた「大辞林 第二版*1」で調べてみると:

タピオカ 0 2 [tapioca]

キャッサバの根からとったデンプン。食用とする。

なるほど、「キャッサバ」の根から取った澱粉で作ったものですね。で、「キャッサバ」って何?

キャッサバ 1 0 [cassava]

トウダイグサ科の落葉低木。熱帯諸国で広く栽培される。高さ3メートル内外。地下にサツマイモに似た太い根があり、これからタピオカと呼ぶ食用のデンプンをとる。イモノキ。タピオカの木。

そして台湾ヤフー*2の英中辞書で、「cassava」を検索してみると:

cassava
n. ( 名詞 noun )

1. 【植物】 【植】 木薯 ( 産於熱帶,澤漆科 )

ちなみに、tapiocaも

tapioca
n. ( 名詞 noun )

1. 【物】 木薯澱粉

と載ってありますね。


…で、木薯ってなに? 粉円の材料も西米露の材料もわからないから、まず教育部新編国語辞典修訂版*3で調べてみます。

木薯

樹薯的別名。見「樹薯」條。

……。

樹薯

植物名。大戟科木薯屬,落葉灌木。……可供食用或製粉,並為酒精及味精之主要原料。

なるほど、アルコールと味の素の原料ですか。すごく依頼している植物だよね。でもあまり粉円か西米露との関係について書いていませんね。


仕方なく、食材の名前で調べてみると、

粉圓

一種食品。呈圓形,煮熟後,成透明状,中央較硬而外面軟嫩。冬天熱食,夏天常加冰而成涼食。

分かってるって! 原料を書けよ原料!


西米露でも調べてみたが、

見つかりませんでした。

「西谷米」に言い換えれば?

西谷米

一種澱粉質食品。為馬來語Sagu的音譯。其製法是將西谷椰子樹幹内白色液状的碳水化合物取出,加工製成澱粉小粒,為太平洋西南地區的主要食物。

なるほど、西谷米は椰子の木の液で作ったものですね。これならキャッサバで作ったタピオカとは無関係らしいですね。


やはりタピオカは粉円ですね? まだ直接的に証明できる証拠が見つからない。もうちょっとがんばってみよう。
いよいよGoogle大明神の出番だ!

木薯粉與蕃薯粉、玉米澱粉作用相同。但能使食材成膠凍状、所以用來制作肉圓皮、粉圓等食物。

おお、これならタピオカ=粉圓の証拠も見つかりました。


え? もっと調べてみると、こんなページもありました:

西谷米其實就是菱粉作的。

椰子ではないの? 菱粉ってなに?

生粉= 太白粉= 馬鈴薯澱粉= 菱粉

西米露=太白粉!? マジで?
きもい・・・・。


香港の食材ページ:

(英語)Tapioca Starch = (香港)木薯粉 = (台湾)泰國生粉 菱粉

…こりゃややこしくなりましたね。

教育部の見解では、西米露は椰子の木の液で作ったものですが、なんとタピオカ粉で作った見解もあります。


いろいろ調べると、この行政院衛生署の「食物代換表」*4はこんなものも書いています:

*西谷米(粉圓)

同じだっけ?
違うように見えるのに…。


結局、日本語で混乱しているだけではなく、中国語でも混乱している模様。


最後に、西米露の正しい日本語についても研究しました。

このページの一番下に、

キャッサバ Manihot esculenta Crantz

利用
 熱帯では米につぐ主食。青酸は加熱、水洗、乾燥でなくなる。抽出したでんぷんはタピオカデンプン。
 料理、加工、アルコール原料。インドネシア、マダカスカル、ブラジルから米欧日へ大量に輸出。


ゴヤ Metroxylon sagu Rottb.  sago palm
トゲサゴヤ M.rumphii Mart.   prickly sago palm

 マレー原産のヤシ科の高木。幹内に大量のでんぷんが蓄積される。でんぷんは良質、サゴパールとして欧米日へ輸出。

と、非常に詳しい情報が書いている。
やっぱり椰子ですね。


西米露はSaguの音訳で、「サゴパール」らしい。

こんなページも見つかりました。

沖縄のれっきとした宮廷料理としてタピオカを使ったデザートがあります。「西国米」と書いて「しーくーびー」と読みます。琉球料理の本などには「せーかくびー」とありますが、私は「しーくーびー」と聞いて育ってきたので、この呼び方を使っています。

このページによると、正しい言い方は「サゴパール」ですが、沖縄では戦前から台湾から輸入の西谷米をデザートとして食べる習慣があって、「しーくーびー」と読み、「西国米」という表記を使っています。

「サゴパール」「サゴ」「西国米」「しーくーびー」などでキーワードとしてGoogleで検索して見ましたが、どれでもヒット数が少なく、やはりサゴのことも「タピオカ」と呼ぶケースが多い。

このページによると、

キャッサバ: トウダイグサ科多年草。そのイモのデンプンを粒状にしたものがタピオカである。最近は「サゴ」として出回っている粒々(サゴパール)も実はキャッサバ製の物が多いらしい

真相判明! なるほど、サゴはサゴヤシ製ですが、最近はキャッサバ製のものもよくあるようになりました。
今時のそばはそば粉より小麦粉の用量が多いことと同じだ(笑)。


ふー。疲れました。ということですべての真相が判明しましした。長文ですみませんでした。

結論

  • タピオカ=粉円
    • 原料:キャッサバ=木薯=樹薯
  • サゴ=サゴパール=西谷米=西米露
    • 原料:サゴヤシ=Sagu椰子
    • 最近キャッサバの製品も。
    • 日本では「タピオカ」と言うケースが多い。
    • 沖縄では「西国米=しーくーびー」と言う。
  • 太白粉=片栗粉
    • 原料:じゃが芋=馬鈴薯
    • 昔の片栗粉は片栗製ですが、今は殆どじゃが芋製。